癌は遺伝するか？

 

病理学的にいうと癌は遺伝しません　

がしかし　患者さんの「父が胃癌で他界し　母も卵巣癌でした　

私も乳癌を手術しましたし　今度は弟まで喉頭癌になりました

癌体質というのは遺伝するんですね」という嘆きを耳にします

 

玲さんは乳癌の術後　３カ月おきに定期検査を受けてきました

３年半が過ぎた頃　医師から精密検査を受けるよう言われました

癌細胞マーカーの数値が急増し　再発か転移が疑われたのでした

動揺した玲さんは　親友に電話をして胸の不安を打ち明けました　

 

その友人が　３年前から月に一度は玄米堂に通院している方で　

精密検査に先立って　自分の予約診療日に玲さんを同行させて

「私の代わりに　この人を診ていただきたいんです」と　

友だちを心配する親身な気持ちが　こちらに伝わってきました　

 

「わかりました　できることは精一杯いたします」

広島からわざわざ飛行機と電車を乗り継いで来た玲さんは

初対面の緊張もあってか　診療中もかすかに唇が震えていました

幸い玲さんの肉体は正常で　胸のチャクラだけが異常でした

 

玲さんのエーテル体が異常を示した理由も判明しました

胸のチャクラに異変が生じたのは玲さん自身に起因するのでなく

治療院では「９９９」というあだ名で呼んでいる外的影響で

それは肉体（細胞や組織）への損傷を及ぼしていませんでした

 

「再発ではありません　マーカー値が上がったのは別の理由です

その理由についてはとりあえず　きょうここで解決しますから　

リラックスして精密検査を受けて　それをお確かめ下さい」

安堵した玲さんの目が潤み　張り詰めた糸もほどけていきました

 

広島へ帰った玲さんから　明るい気持ちで検査に臨むことができ

結果はマーカー値が正常に戻っていて　病巣も見つからなかった由

今後は年に一度は玄米堂で治療したい旨のお手紙をいただきました

ここまでであれば　めでたい症例の一つで完了していたでしょう

 

友人に伴われて　治療院を訪れた２００１年６月の翌年

２００２年９月の予約ノートに　再び玲さんの名前があったので

お手紙にあった年に一度の健康チェックだと思い込んでいました

ところが　彼女は弟さん（４９歳）と一緒に再来したのでした

 

この度の患者さんは玲さん本人ではなく　弟さんだったのです

「昨年　初めて診ていただいた際　先生は覚えているでしょうか

私に弟さんはいるかと　そして彼の体調はどうかと聞かれました

確かに弟はおりますが　その頃はどこも悪くなく健康でした」

 

玲さんは内心　治療師はいったい何を言ってるんだろうと

不思議に感じたが　それが忘れられなかったと話してくれました　

その弟さんが　２００２年６月　つまりほんの３ヶ月ほど前に　

物を飲み込むのに違和感を覚え　医師の診察を受けたのだそうです

　

そこで転移性の喉頭癌が発見され　急きょ入院となりました

そしてここへ来る一週間前に　退院したばかりだということでした

抗がん剤と放射線治療を連続して　幸いに喉の癌は消失したものの

「しかし　肝心な問題がまだ残っているんです」

 

「転移性の喉頭癌だという診断なんですが　原発の部位がどこか

いくら検査しても見つからないし　わからないということでした」

来月から　また抗がん剤は定期的に点滴していく予定だそうです

病巣部位が不明という告知も　新たな不安を増長させるに十分です

 

玲さんは「昨年　私の検査マーカーが上がったのは　再発ではなく

別の理由だということでしたが　弟の癌とも関係があるのですか

先生はどうしてあの時　弟のことを私に質問なさったのですか」

と考えに考えて　必死な問いかけで核心をついてきます

 

果たして真実を伝えるのは誠実か　それとも不遜か独善か

これは治療師にとって　今後も繰り返される自問自答です

この日　初対面の弟さんと　再発の不安と闘ってきた玲さんに　

科学的に検証されない情報は伝えないことにしました

 

この時は弟さんのリーディングをして胸腺に原発病巣があること

こういうケイスの抗がん剤投与は害になっても有益ではないこと

弟さんのこの度の体験は積極的な意味があることなどをお伝えして

残りの時間を　弟さんと玲さんの治療に集中し　終えました

 

つまり　実存的な根本理由はとうとう伝達しませんでした

玲さんに大まかに説明することになったのは　翌２００３年２月

玲さんが３度目に　夫の転居先の四国からおいでになった時でした

「弟だけは無事にと願っていたのに　まさか弟まで癌になるなんて」

 

「私は反対したんですが　やはり弟は抗がん剤を続けました

そして２００２年の１２月　今度は腰の骨に癌が見つかったんです

もう　モルヒネも効かないらしく　とても痛がっているんです

お医者さまは　弟は今月いっぱいだろうとおっしゃっています」

 

「子供にだけは　子供たちにはこの体質が遺伝しませんように」

玲さんは治療室のベッドの上で　祈るようにつぶやいていました

「玲さん　きっとあなたの代でケリがつきますよ　だから　

あなたの子供さんや　弟さんの子供さんには受け継がれませんよ」

 

リーディングによると　玲さんの４代前のご先祖さんのお一人が　

「闇の奥の院」と契約した記録を　初診の時に読んでいました

当時　玲さんの「気の体」にリーディングした記録を除去する際

弟さんの腰髄にもあるように思われたので　お聞きしたのでした

 

人（魂）は　現実社会の法律や規律に守られ裁かれるのと同様に

実存の世界（霊魂の領域）の法則にも計られ　庇護されています

闇存在は　人が自力で乗り越えるべき　魂が試される時に忍び寄り　

「どうだい　便宜を計ってやろうか」と甘い誘惑をしかけてきます

 

ラクチンで安易な味を一度ならず　幾度となく契約を繰り返すと

いつの間にか本人一代ではあがないきれないほどの負債になります

その負の遺産が　代々に渡り分割精算され受け継がれていきます

「闇の奥の院」と呼んでいる領域は　悪性腫瘍と同質の特徴です

 

闇の奥の院と契約し　その世代で精算が完了できなかった場合での

同質の病巣（癌など）を　臨床で家系的にリーディングしています

そして統計的には　そのような根本原因に起因する腫瘍や疾病に

劇薬の処方は有益とならない経過を　多数観察してきました

 

もちろん癌の原因は　そうした先祖の負の遺産だけとは限りません

食べ物や嗜好品　薬剤の副作用　ストレスが原因の場合もあります

この章では　玲さんとの出会いから　個々の意識とか気付き以前の

無意識のレヴェルにその原因が存在する実例を紹介しました